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個別記事の管理2016-05-04 (Wed)
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本の紹介です。浅田次郎「蒼穹の昴」「珍妃の井戸」「中原の虹」です。
なぜ3冊同時かというと、この3作品は舞台も登場人物も同じ一連の作品だからです。
蒼穹の昴はNHKドラマにもなったので聞いたことがある人もいるかと思います。

舞台は清朝末期の中国、主な人物は西太后、袁世凱、光緒帝、宣統帝,
張作霖,蒋介石、孫文などですが、
これに加えて、梁文秀、李春雲、李春雷、岡圭之助、トーマスバートン、
ミセス・チャンなど、オリジナルキャラクターたちの主観が切り換わる、
浅田さんらしい多面的に描写する作品になっています。

さらに加えて、清朝当初の英雄たち、ヌルハチ、ホンタイジ、ダイシャン、ドルゴン、
順治帝らの建国秘話のエピソード、清朝最大の名君とされた乾隆帝と龍玉にまつ
わるエピソード、アヘン戦争、義和団の乱、太平天国の乱、日清戦争、日露戦争、
辛亥革命、と本当に壮大なドラマとなっています。

ただ、おしむらくは風呂敷を広げすぎて、人物も出しすぎて、結局何が言いたい
物語だったのか、多くの伏線も回収しないまま終わっています。それにかなりの
浅田さん独自の解釈が入っており、特に西太后を持ち上げすぎな気がします。
史実の彼女がそこまで中国の未来を見越して行動していたのか・・・、読者に
よっては嫌悪感を感じるかもしれません。龍玉というアイテムに重点を置きすぎ
たストーリーもちょっと違和感を感じるかもしれませんね。

それでも、浅田さんの書く文章はおもしろく、特にオリジナルキャラクターの李春雲、
李春雷、梁文秀、トマスバートン、ミセスチャンらの生き生きとした描写は引き込ま
れるものがありました。科挙の話もおもしろかったですね。なかなかこの科挙が
中世中国人たちにとってどういうものだったのか詳しく書く作品は少ないのでここ
だけでも買い、な本です。受験生たちの過酷な生活は読んでいて驚きますよ。

興味があるなら先にドラマから観てもいいかもしれません。
賛否両論ある作品かと思いますが、一読の価値ありと思います。
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個別記事の管理2016-03-20 (Sun)
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本の紹介です。火坂雅志「左近」です。

戦国時代末期の武将、島左近の生涯を題材とした作品です。
惜しくも作者の火坂さんの急逝により未完となってしまったんですが、途中まででも
非常に面白いです。火坂さんは大河ドラマ「天地人」の原作者でもあります。

島左近といえば、戦国末期、弱小大名の筒井家に仕え、松永久秀と戦った前半生と
石田三成と刎頚の交わりをかわして徳川家康と戦った後半生が有名な武将です。
とにかく戦上手で、戦国シミュレーションゲームなどでは常に武力上位に来る優秀
なキャラクターです。

火坂さんは島左近の一途で男らしくハードボイルドな人生を描いています。
特に前半部の松永久秀との死闘、左近でさえ予測できない急転直下の情勢変化
の描写のあたり、読んでいて息を飲むものがありました。

これから関ヶ原、というところで火坂さんが亡くなってしまいましたが、火坂さんが
左近を関ヶ原でどんな活躍をさせ、どんな最後を迎えさせるのか、見たいところで
はあります。誰か、北方謙三さんなどに続きを書いてもらいたいものですが・・・。

単純に筒井順慶、松永久秀、三好三人衆、足利将軍家があらそった戦国の京都、奈良
のあたりの戦史を知るだけでも面白い本だと思います。
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個別記事の管理2016-02-11 (Thu)
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録画で溜め込んでいた「花燃ゆ」を最終回までなんとか観ました。
視聴率がすごく低迷しているのは分かります。
大河にホームドラマや少女マンガチックな展開を盛り込みすぎて、実際の史実は主人公の
周りに関係するところしか映像で出さない、という最近の大河ドラマ低迷の象徴ともいえる作品
でした。

ただ、吉田松陰、久坂玄瑞、高杉晋作、椋梨藤太などにこれまでにないくらいスポットを当てて
詳しくその人生を描いたところなんかは評価できるところでしょうね。
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さて、次の大河「真田丸」がスタートしています。
できれば真田三代の最初の真田幸隆の放浪時代~信玄に仕える、ぐらいの頃からやってくれたら
真田氏がなぜあれほど群馬や長野の県境の土地にこだわって家康と戦ったのかが分かるんですが・・。

残念ながら武田氏滅亡寸前のところから始まるようです。それで大阪夏の陣まで50回もつんだろうか。
まあ面白そうな感じなので期待大です。
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* by daizu
真田丸、録画しているのですが全然観れていません。その前に撮りためた花燃ゆを観ないと(^_^;) 花燃ゆは最初の数回だけ見ていますが面白かったです。続きを見る時間がなかなかないです・・・。

* by LLL
花燃ゆ、はともかく、真田丸は今のところけっこう面白い
ですよ。真田昌幸役の草刈正雄がなかなかユーモアある
いい演技してますね。

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個別記事の管理2015-11-27 (Fri)
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本の紹介です。宮城谷昌光「劉邦」です。

宮城谷さんといえば、いまや中国を舞台とした歴史小説の大御所という感じですが、
劉邦を描くのはこの作品が初めてだそうで意外です。
春秋戦国の英雄たち、三国志の本はたくさん書かれていますが・・。

で、この「劉邦」ですが、今までの宮城谷さんの作品と違い、フィクションの部分が
少なく、史実どおりというか、史記の記載に忠実に描かれているようです。
その点で物足りなさを感じている人が多いようです。

しかし、今までの項羽と劉邦を扱った作品では、劉邦の天下統一までの足取りが
分かりにくく、劉邦がどういった人物とどういう関係で、いつ仲間になっていったのか
明確でないものが多かったのが、この作品では非常に詳しく書かれています。
さすがに中国古代史の知識が豊富な宮城谷さんの作品、といったところです。

特に劉邦の冒険活劇ものといった期待を抱かず、劉邦の一生と前漢の成り立ち
を知る上では面白い本です。ただ、王朝を開いたあとの劉邦の変貌(功臣粛清)
の場面までは宮城谷さんも描きたくなかったのか、詳しく描いてありませんが・・・。

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個別記事の管理2015-11-26 (Thu)

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本の紹介です。東山彰良(ひがしやまあきら) 「流」(りゅう)です。

直木賞受賞作品で、各審査員、特に北方健三さんがめちゃくちゃほめてるので
買ってみました。(本屋の人に勧められたのもあるけど)

結果・・・ものすごく面白かったです。さすが直木賞作品といったところでしょうか。
作者は台湾出身のようで、作品の舞台も台湾です。1970年代~現在までの台湾
事情を非常にくわしく、生き生きと描いています。というか生き生きしすぎです。
まるで昭和の古き良き時代の日本を見ているような感じで、登場人物たちの情景
が鮮やかに想像できるような文章です。映画化にもぴったりでしょう。

批判があるとすれば、品がない、日本語に無いような下品でまわりくどい言葉使い、
といったものでしょうけど、これらはこの作品の根幹をなすもので、本当に読書が
好きならこの本のような作品の良さを感じ取れる清濁あわせ呑める感性を持ち
たいものです。

・・・というぐらいこの作品は衝撃を受けるものです。
それと、この作品を深く読み込む前提として、日中戦争、台湾の19世紀から
ぐらいの歴史と、中国の国共内戦と台湾との関係を知っておくともっと楽しめる
でしょう。小林よしのりの「台湾論」なんかおススメです。

人物としては、蒋介石、毛沢東、蒋経国、用語としては中国共産党、国民党、
外省人、内省人、八路軍、便衣兵などの意味を知っておくと良いでしょう。

作品の内容については実際に読まれたほうが断然面白いので割愛しますが、
かなり作者の実体験に基づくものが多いんではないでしょうか。
久々に面白い本を読ませて頂きました。買って損はない本だと思います。
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