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個別記事の管理2018-05-28 (Mon)
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本の紹介です。
「ベクターケースファイル 稲穂の昆虫記」です。
原作 藤見泰高 漫画 カミムラ晋作
少年チャンピオンに2006~2009年に掲載された作品です。
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藤見泰高さんといえば、このブログでも以前紹介した「鍬道」(くわどう)
の作者でもあります。
はい、ベクター(害虫、感染症媒介生物)という題名からもわかるように、
昆虫、自然動物をテーマとした作品なんですね。
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主人公の榎稲穂は、昆虫に異常に精通するちょっと変わった女子高生。
というか中身、行動ともおっさんで外見だけ可愛らしいといったイメージです。
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常に白衣を着て、カブトムシ、クワガタを採集するのが好きで、子供たちに
クワカブの採集法や飼育法、はては昆虫バトルまで教えるので子供たち
に大人気のお姉さんでもあります。
子供たちから「むしきんぐ」や「博士」と呼ばれてますね。(笑)
この作品のスピンオフ作品として「サイカチ 真夏の昆虫格闘記」がありますが
これは稲穂が小学生の男の子にクワガタ相撲を伝授して大会などに一緒に
挑戦する作品です。
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さて、この作品は稲穂が昆虫や自然動物に関する知識を生かして、
生物によって起きたトラブルを解決していく一話完結ウンチクもの、
といったものです。昆虫、自然動物に興味ある人にとってはすごく
面白い作品ですよ。
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稲穂は人間に害をなす昆虫などによって起こされるバイオハザード
を悪戦苦闘しながら解決していきます。彼女のポリシーは人間と自然、虫たち
の共存。自然を愛する彼女はバイオハザードの原因は決して虫たちだけの
原因で起こるものではなく、人間による生態系の破壊によるものが多いこと
を指摘して終わる話が多いです。

どうしても害虫となった虫たちをある程度駆除せねばならなかった時、
彼女は「すまん、お前たちに罪はないのにな」と涙します。
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そんな稲穂の考えと対立するのが中国姉妹の麗紅蘭と麗白蘭。
彼女らは害虫を強力な薬品で即座に駆除することを主張します。
これは彼女らが中国の農村で害虫により壊滅的な被害を受けた
経験によるもので、まるで手塚治虫の「ブラックジャック」の
ブラックジャックとドクターキリコのような関係を彷彿とさせます。
彼女らと稲穂はバイオハザードのたびに議論を繰り返し、毎回
いちがいにどちらの意見も間違いでもなく正論でもある結末を
迎えます。

このあたりけっこう深い作品だったりします。

その他にもバイオハザードを利用した愉快犯のような女子高生
ニーナとかいてその犯行による被害を稲穂が最小限に食い止める
話が続きます。
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彼女がそこまで昆虫、自然生物、アウトドアライフに取り組むのは
なぜなのか。そんなに運動神経が鋭い(というか鈍い)わけでもないのに。

地上げ屋のリーダーで森を伐採してショッピングセンターを造ろうとしている
男と森の中で遭難し、稲穂は持ち前の自然の知識を生かして何日も一緒に
生き延び、男の命を救います。
その時の会話で稲穂の将来の目的が分かります。

稲穂は生物学の教授の夫婦の娘で母と二人暮らしで、お父さんは東南アジア
で生物探索の際に行方を絶っています。
稲穂は近いうちに東南アジアで行方不明の父を探すために自然の知識
を会得しているわけですね。

稲穂ははたして父に会えるのか、結末は読んでのお楽しみ。
昆虫や自然動物についてのおもしろい豊富な知識も得られる稀有な作品です。

追記 各話のテーマとなる虫、生物です。
1話 チョウバエ
2話 オオスズメバチ
3話 イエシロアリ
4話 アオバアリガタハネカクシ
5話 ミミヒゼンダニ
6話 アリガタバチ
7話 ハエトリグモ
8話 ミヤイリガイ 日本住血吸虫
9話 ヤマトミツバチ
10話 タカラダニ
11話 ザザムシ ヘビトンボ カワゲラ カワムシ サバイバル一般
12話 イエバエ ガイマイゴミムシダマシ
番外編 ネキリムシ(成虫カブラヤガ)
13話 カタツムリ マイマイカブリ
14話 キボシカミキリ ボーベリア菌(白きょう病原菌) トビムシ
15話 ヤスデ
16話 ゴキブリ
番外編 ソメイヨシノ(桜)
17話 ウジ(マゴット治療に使用する無菌ウジ)
18話 ヒトスジシマカ フィラリア(寄生虫)
19話 アルゼンチンアリ(軍隊アリ)
20話 コオロギ スジブトヒラタ 闘虫大会がテーマ
番外編 ノコギリクワガタ
21話 ヤマビル
22話 ユスリカ
23話 チャドクガ アメリカシロヒトリ ノミバエ
24話 ヤママユガ モルフォチョウ
番外編 キイロスズメバチ
25話 トコジラミ
26話 アオクサカメムシ 虫の走光性がテーマ
27話 カシノナガキクイムシ 樹木の適度な伐採による萌芽更新の重要さがテーマ
28話 キイロスズメバチ オオスズメバチ メガボール(熱帯大型タマヤスデ)
29話 ネコノミ
30話 アタマジラミ
31話 ヒグラシ アブラゼミ クマゼミ ニイニイゼミ ツクツクホウシ ミンミンゼミ
32話 センチュウ
33話 ワモンゴキブリ
34話 チーズ・コナダニ チャタテムシ
35話 鳥インフルエンザ ワクモ(鳥寄生ダニ)
36話 カマキリ キリギリス ヤブキリ リオック(インドネシアコオロギ)
番外編 オオチャイロハナムグリ
番外編 カナブン
37話 ナミテントウムシ
38話 キラービー(アフリカナイズドミツバチ)
39話 アサギマダラ
最終話 アリ アゲハチョウ カブトムシ グランディスオオクワガタ
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感心します * by 筑豊人
よく、文章かけますね~。感心します。あれだけの文面を書くのってすごく大変そうです。採集の事ならまだしも、本の事まで。
最後に索引まで。
あの本は絵を見ただけじゃ内容まで伝わらないですね。
なんかエッチ系の漫画と思いましたよ(笑)

* by LLL
あの描写は意識的に描いてると思いますね。(笑)
なにせ内容が虫のことばっかりなので表紙や絵柄で
一般読者を引き込むよう編集方などから要望があったの
では。
個人的には藤見泰高さんには「鍬道」の昆虫フィールド
での連載を再開してほしいところです。
今、藤見さん原作で「巨蟲列島」という昆虫ホラーもの
を連載してるようです。見てみよう。

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個別記事の管理2017-07-09 (Sun)
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7/8(土)、TJOY久留米で「メアリと魔女の花」を娘と観てきました。
スタジオポノックの第一作の映画だそうです。
原作 メアリー・スチュアートの同名作品の映像化ですね。
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スタジオポノックは、スタジオジブリ製作部門が解散された後の
主要メンバーが米林宏昌監督を中心に集まってできたそうです。
米林さんといえば、「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」
でジブリのメンバーとしてそれなりにヒット作を出している人です。

観た感想ですが、背景美術、魔法大学の細々とした設定については往年の
ジブリを彷彿とさせるものがありました。
ジブリが最近失っていた冒険活劇をまた観せようという意欲は感じられました。

ただ、各キャラクターの特徴が乏しく、悪役キャラ(?)にしても最近の劣化した
ジブリ作品に出てきていたようなキャラで新鮮味が感じられませんでした。
ホウキの管理人だけでなく、魔法大学の学生にも個性を持たせたら良かった
のでは?。

悪役たちの行為に対しての主人公側の怒りの必要性が、観る人によっては違和感
を感じたのではないでしょうか。もっと正当な(?)大義名分がほしかった。
末期のジブリの悪いところを引き継いでいるのが、液体系のドロドロの敵キャラ
が多いところ。同じ得体の知れない敵なら「ナウシカ」「ラピュタ」のように個性
をもった「固体」の敵を作ってほしかったですね。

主人公の少女を無理に美形ではない子に描いたようですが、まだ米林さんは
カッコつけてます。内容で芸術に迫ればいいと考えている点は晩年の宮崎さん
と同じです。主人公は美形で萌えキャラでもいいんです。その上で内容の充実
を目指すのがプロです。観客はアニメ作品に対して芸術を求めにきているわけ
ではなく、楽しもうとしてきているのです。

厳しいことを書きましたが、最初の作品にしては最近のジブリの作品
より美術、内容とも上回る良作だと思います。
「魔女の宅急便2」といってもいいと思います。
ジブリ作品も「魔女の宅急便」以降、主人公キャラの魅力、演出、
冒険活劇の面において退化していったわけですし。
今回内容的には「ラピュタ」「トトロ」「魔女の宅急便」をミックス
したような既視感バリバリの内容でしたが、模倣から始まっても
いいと思います。これからもっと良くなれば。

これからの
スタジオポノックの作品に期待です。
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個別記事の管理2015-07-29 (Wed)
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7/28(火)、tjoy久留米へ、細田守監督作品 「バケモノの子」を観に行ってきました。
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はい、面白かったといえると思います。微妙な言い方なのは、シナリオが前半に比べ後半は荒削りな点が見られる
こと、主人公が青年になったあたりから、展開に勢いがなくなり、少しうつ展開になること。
後半の主人公や他キャラの行動について疑問点がみられ、観客への説明が少ないこと。
各キャラの動きもセリフもダイナミックな前半に比べ後半は動きも少なくなるんですね。
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以上は短所的な部分ですが、この監督の背景の書き込みに対するこだわり、主人公と親代わりのキャラ(?)の詳細で
精密でダイナミックな動きについては映画館で観るのにふさわしく、観客は度肝をぬかれると思います。
そう、初期の宮崎駿さんの作品を彷彿とさせます。まだまだあれほどの質と量はありませんが。

ただ最近のジブリ作品よりははるかに面白く、これからはジブリに代わり、この細田氏の時代になるかもと感じる
作品でした。ちょっとガイナックスっぽい絵柄ですが、ガイナックスも落ちてきたし、細田氏はこれで
「時をかける少女」「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨の雪」と確実にヒットを飛ばしてきています。
これからもっと質を上げていけばこれからは本当にこの人の時代になるかもしれません。
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個別記事の管理2014-11-06 (Thu)
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本の紹介です。藤子不二雄A 「夢トンネル」です。
この作品、1980年代にサンケイ新聞で1日1ページずつ連載されていたんだそうです。
最近30年ぶりに単行本化され、藤子不二雄Aファンの間では隠れた名作として評判なんだそうです。
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主人公のユメオはウイーキーというコアラに似た生物?と巡り会い、夢トンネルという過去へ行くトンネルを通って過去へ連れて行ってもらいます。

過去ではユメオの父の少年時代に行って、少年のユメオの父と交流したり、自分の家の建っていたあたりの何十年も昔へ行って田舎の子供たちと交流したりします。
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何十年も昔の田舎では東京でもカブトムシやオオクワガタが普通にいたりします。(戦争中とのことなので1940年代かな)
・・・しかし私の住む場所の近所では今でもオオクワは無理でもカブチンなんか群れをなしていますが、戦時中と変わらないぐらい田舎ってことですかそうですか。(笑)
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その時代でユメオはナツコという賢くて勇気もある理想の美少女と巡り会います。
このあたりは「まんが道」でも似たような展開があるのでファンの方はニヤッとする場面でしょう。
ナツコは空襲で死ぬ運命にありますが、ユメオは必死になってその運命を変えようとします。
ナツコは生き延びることができたのか、ユメオは現代でまたナツコに会えるのか、読んでのお楽しみです。

古き良き時代の日本を漫画を通して味わえる、藤子不二雄Aさんの名作といえるでしょう。
大作「まんが道」の原型というか、藤子不二雄Aさんの少年時代の体験だろうと思えるような描写もふんだんにあります。
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個別記事の管理2014-10-02 (Thu)
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本の紹介です。梅図かずお「アゲイン」です。
最近の久保みつろうの漫画「アゲイン!!」とは違い、1970年代前半、少年サンデーに連載された作品です。
同時期の梅図さんの傑作に「漂流教室」がありますね。
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この作品の中に登場する主人公の孫のまことが、のちのヒットした作品「まことちゃん」の主人公です。
そうです。「まことちゃん」はこの作品のスピンオフ作品で、元々はこの「アゲイン」が元の作品なんですね。
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大体のあらすじです。
沢田家の老人、沢田元太郎は若い頃から苦労しながら、沢田一家を支え、作り上げ、息子に嫁を迎え、孫もでき、幸せな老後を送るはずだったが、年を取ってからは家族から疎んじられるようになっていた。
若い頃に戻りたいと、心底願う元太郎の元に、なぜか若返りの薬が手に入り、(元太郎は風邪薬と思っている)それを飲んで若返りに成功した元太郎は、沢田家、若い頃通った夕陽ヶ丘高校に青春ドタバタ劇を起こすのであった。
若い頃の元太郎の恋人、天宮有紀に再会した元太郎だったが、有記は当然年老いており、その孫で有紀そっくりの少女が夕陽ヶ丘高校の女子の総元締めのような存在になっていた。男子はひ弱でスポーツでは女子に敵わない存在になり果てており、元太郎は男子の復権のため、有紀の孫の少女と対決するのであった。
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しかし、少女と対決する最後の剣道の試合の直前、若返りの薬の効果が切れて元太郎は老人に戻ってしまう。
急いで若返りの薬を飲もうとする元太郎だったが、薬があとほんの少ししか残っていないことに気づく。
これを飲んでしまえばもう二度と若返ることはできない。しかし飲まずに薬を分析してもらって複製すればいつでも若返ることができる。その場合、試合放棄となり男女決戦に負けることになり、自分を信じてついて来た軟弱男子学生たちを裏切ることになる。元太郎の最期に取った決断は・・・。
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はい、まるで現代の情況のほうがよく当てはまるような設定ですね。
高齢化社会、草食性男子をテーマにした作品です。本当にこの頃の梅図さんは「漂流教室」といい、未来を先取りするというか先読みするストーリーを作る天才でした。神懸かっていましたね。
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私はこの作品を小学生の時に、梅図さんの他の作品「漂流教室」「おろち」「猫目小僧」などと同時に読み、この作者の世界観にはまったことがあります。他の作品は恐怖作品ですが、この作品はなんというか、老人の哀愁をよく表現していたなんとも印象に残る作品でした。
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ギャグの描写は今時の人には受けないかもしれませんが、昔の日本の活気があった時代を思い出させてくれる作品でもありました。老人(?)がもう一花咲かせる、というテーマだと最近だと、小林よしのりの「遅咲きじじい」がありますね。
他にも弘兼憲史の「黄昏流星群」など。この作品はそれらの先駈けのような感じかな。
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* by daizu
なんとまことちゃんはこのキャラクターだったんですね!
いや~、びっくりです。

高校生くらいになってから漂流教室を読んだのですが、面白かったのを覚えています(^^)

* by LLL
はい、この作品でのまことちゃんのギャグの描写が面白かった(当時は)ことから「まことちゃん」の連載が始まったらしいですよ。
梅図さんの作品だと、他は「おろち」「怪」「猫目小僧」などが面白いです。

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